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老化の はじまり? 黒い靴下の山


靴下整理は面倒くさい

私は洗濯があまり好きではありません。特に洗濯物の取り込みと、畳んで所定の場所にしまうことを面倒だなと感じてしまいます。でもそこは主婦歴十数年。きちんと毎日洗濯をし、取り込んで、綺麗に畳んで、クローゼットや衣装ケースにしまってるんですけどね。

そんな私が最近、しまうのを後回しにしがちなのが主人と息子の靴下。

少し前までは息子の足は小さく、色柄物の靴下だったので、特に負担には思っていなかったのですが、最近足が大きくなり主人と同じサイズの靴下を履くようになりました。

主人は薄いペラッとしたビジネスソックスが嫌いで、綿100%の黒の靴下。
息子は学生服に合わせ、やっぱり綿100%の黒の靴下。

微妙な違いはあります。主人はワンポイント刺繍が入ってるのが多く、息子の靴下は大体が裏返っているとか。この少し大きめのはこの間スーパーの特売で買ったものだから息子の靴下だ、とか。
そうは言っても、やっぱり区別が難しいものが多い。
結局、洗濯物を取り込みながら、「これは主人のかなあ。」「こっちは息子のかなあ」と悩み、時間がないときは「後で分けよう」と思ってそのまま靴下だけ放置。

そうすると黒い靴下がだんだんとたまっていくわけです。

実家に出現した黒い靴下の山

一年ほど前に実家に行った時の話です。
和室の真ん中に靴下の山がありました。洗濯を終えて取り込んだ状態の靴下が大量に。色は紺や黒などの濃い色ばかりなので、黒い山です。「え!何コレ?」と思わず驚きの声をあげました。

父は家事をほとんどしないので、多分、これを作ったのは母。
でもその母は、数カ月前に痴呆症状がひどくなりグループ施設に入居してしまいました。父は毎日のように母のお見舞いに行ったりシルバー人材センターで請け負ったアルバイトに行ったりとそこそこ忙しくしてるせいか、あるいは気にならないのかわかりませんが、母がグループホームに入居してからずっと片づけていないようです。
父に和室にある靴下の山について聞くと「お母さんがやっててそのままにしてる。自分が履く靴下はその都度洗濯してるので、靴下山を放置していても特に困ってはいない」とのこと。
綺麗好きだった父だけにその返答にちょっとショックを受けた私ですが、まあ私が片付ければいいかと靴下の山を整理することにしました。

 

新聞入れの中から出てくる黒い靴下

早速、トランプの神経衰弱のように一対になるものを揃えていったのですが、片方しか見つからない靴下がたくさん残りました。

もう片方はどこへ行ったんだろうと何の気なしにテーブルを見たら、なんとテーブルの下にある新聞入れの中から はみ出ている靴下を発見! ちょっと周囲を見てみるとソファのかげにまた靴下を発見。もしやと思い、和室とリビングの家具の隙間や引き出しを開けていくと、出てくる出てくる黒い靴下。丸めるように畳んでいたり、隙間に押し込むように入れてあったり。驚いたのは母の化粧道具が入っている鏡台の引き出しからも出てきたこと。

とにかく不思議で仕方ありませんでしたが、その時はとりあえず集められるだけ集めて靴下を1足ずつまとめて、タンスに入れてきました。

 

黒い靴下の山は老化のはじまり?

あれから一年。私の前には小さな黒い靴下の山ができています。
「山」を作るつもりはなかったのですが、忙しかったり、洗濯物を取り込んだ時たまたま時間がなかったりして後回しをした結果です。息子から「お母さん、靴下ない!」と言われて ようやくこの山と向き合ったわけです。
これが息子の、こっちが主人の。あれ?これはやっぱりさっきの息子の靴下の片割れでは?など試行錯誤しながらセットになる靴下を探していきます。
洗濯物を取り込んだ夕暮れの部屋での作業。電気をつけるほどでもないと思いながら作業をしていたのですが、薄暗いこともあってどれも同じように見えてきます。「もうイヤ~」と投げ出したい気分。

そこでふと気づいたんです。母もこんな気持ちだったんじゃないかと。
高齢で視力も弱ってきた母には 靴下がどれも同じように見えたのかもしれません。色違い、柄違いの靴下をセットしては 父から「コレ違うよ」と言われこともあったことでしょう。苦手意識がたまっていき、靴下を片づけられなくなったのかもしれません。

あるいは既に痴呆症状が出ていた母には、靴下をそろえること自体難しくなっていたのかもしれません。視力低下、それを認知する機能の低下もあり、靴下は洗濯のたびに どんどんたまっていき、山を作っていく。山を作るのは良くないと思うからこそ、それを隠したい。そんなわけでタンスの隅とかに隠すようになったんじゃないかと思います。そして段々と痴呆症状がひどくなっていき、タンスだけでなくあらゆる家具の隙間や引き出しに入れるようになったのではないでしょうか。

この母の「隙間(すきま)に物を入れる」という行動は、他にも派生していくのですがそれはまた別の機会に。

とにもかくにも、「認知機能が衰えてくると靴下の山ができる」という結論に至ったわけです。

30年後、靴下の仕分けができるのか?

さて、私自身の話に戻ると、老眼や乱視の進行、硝子体剥離など視力の衰えを日々実感している今日この頃。
面倒だから後回しなんて言っていたら、そのうち本当に靴下を整理できなくなる日がくるかもしれません。
30年後は80歳代。今から靴下の仕分けを面倒に感じている私が、はたして30年後、問題なく靴下の仕分けをできているのか、ちょっと不安になります。

私にとっては靴下の山は老化の象徴。ついついなんでもめんどくさく感じてしまいますが、これからは意識して一つ一つを丁寧にこなしていくことが大切だと自分に言い聞かせたいと思います。